クロム鞣しとタンニン鞣しの違い
革製品の説明でよく見る「クロム鞣し」と「タンニン鞣し」。いま最も多く使われているのが、この二つの鞣し方です。出典:皮革用語辞典できあがる革の性質も、向く製品も違います。違いを知っておくと、手入れの考え方もつかみやすくなります。
この記事のポイント
- クロム革は柔らかく、軽く、熱や保存に強い。いちばん多く生産されています。出典:皮革用語辞典
- タンニン革は伸びにくく、靴の底革やぬめ革、革工芸に使われます。出典:皮革用語辞典
- クロムなめしの革は、オイルを頻繁に補わなくても長くもちます。出典:レッドウィング
このページの本文は、ケア用品メーカーとブランドと業界団体が自社サイトに公開している記載だけを根拠にしています。 どの文がどの資料によるかは、ページ下部の出典から確認できます。
鞣しは、皮を「革」にする工程
違いの前に、鞣しそのものを押さえておきましょう。鞣しとは、動物の皮の線維構造を保ったまま、鞣剤を使ってコラーゲン線維を元に戻らないかたちで安定させることです。出典:皮革用語辞典
目的は主に三つ。熱に強くすること、薬品や微生物に負けないようにすること、そして必要な性質を与えて、いわゆる「革らしさ」を持たせることです。出典:皮革用語辞典
クロム鞣しは、早く鞣せて柔らかい
クロム鞣しは、3価のクロム錯体で皮を鞣す方法です。出典:皮革用語辞典ドラムなどで6〜8時間回し、24時間以内に鞣し終えます。出典:皮革用語辞典鞣す時間が短く経済的なうえ、できた革は柔らかく、保存性・耐熱性・染色性に優れます。出典:皮革用語辞典
クロム革は淡い青色で、軽くて弾力があるのも特徴。靴の甲革、ハンドバッグ、衣料に使われ、生産量はいちばん多い革です。出典:皮革用語辞典クロムで鞣したあと、合成タンニンや植物タンニンで鞣し直すことも多くあります。出典:皮革用語辞典
タンニン鞣しは、伸びにくく形が付きやすい
タンニン革は、植物タンニン剤で鞣した革です。出典:皮革用語辞典クロム革と比べると、伸びにくく弾力も小さめ。一方で、つくるのに時間がかかります。出典:皮革用語辞典使い道は、靴の底革、ぬめ革、革工芸などです。出典:皮革用語辞典最近は、ほかの鞣剤と組み合わせた「コンビネーション鞣し」の革も増えています。出典:皮革用語辞典
経年変化の中身も、鞣しで違う
時間がたつと、加脂剤が少しずつ酸化し、タンニン分子や革と反応して色が濃くなっていきます。出典:皮革用語辞典変わるのは色だけではありません。繊維の表面に偏っていた油が均一に広がり、風合いもそろっていきます。出典:皮革用語辞典クロム鞣しの革では、エイジングで耐熱性が上がります。出典:皮革用語辞典
ヌメ革は日焼けとシミに気をつける
タンニン鞣しの代表がヌメ革です。タンニンなめしで、表面加工をほとんどしていない、自然な風合いの革です。出典:コロニルそのぶん水分や油分がしみ込みやすく、水シミや日焼けによる変色が起こりやすい革です。出典:コロニル急に日に当てると焼けムラになるので、日焼けの管理が大切です。出典:コロニル
飴色になってツヤが出るまでは、クリームを控えるようコロニルは勧めています。一方、クロムなめしの革は、オイルを頻繁に補わなくても長くもちます。出典:レッドウィング
どちらの鞣しでも、仕上げや製品によって手入れは変わります。お持ちの製品のメーカーの案内を確かめてください。
まとめ
柔らかく軽いクロム革は、甲革やバッグ、衣料に。伸びにくいタンニン革は、底革やぬめ革、革工芸に。出典:皮革用語辞典ヌメ革のようなタンニン革は日焼けとシミに気をつけ、クロム革はオイルを急がなくて大丈夫です。出典:コロニル、レッドウィング
クロム革とタンニン革(皮革用語辞典)
| 発行元 | 性質 | 使われる製品 |
|---|---|---|
| 日本皮革産業連合会 | クロム革:淡青色。保存性・耐熱性・柔軟性に優れ、軽く弾性が強い | 甲革・ハンドバッグ用革・衣料用革。最も多く生産 |
| 日本皮革産業連合会 | タンニン革:クロム革より伸びと弾性が小さく、製造に時間がかかる | 底革・ぬめ革・革工芸 |
この記事に出てくる素材とブランド
出典
- 日本皮革産業連合会「皮革用語辞典「クロム鞣し」」↗(2026-09-27 確認)
引用した記載 5件
- 「による皮の鞣し方法。準備工程の終わった皮を」
- 「に皮と鞣し液を入れ、6~8時間回転し、24時間以内で鞣しを終了する」
- 「クロム鞣しは鞣し時間が短く経済性に優れ、製品革は柔軟で保存性、」
- 「などの用途に最も広く行われている鞣し法である」
- 「による再鞣しを行うことが多い」
- 日本皮革産業連合会「皮革用語辞典「鞣し」」↗(2026-09-27 確認)
引用した記載 3件
- 「動物皮の線維構造を保持し化学的、物理的操作により、種々の鞣剤を用いてコラーゲン線維を不可逆的に安定化させることである」
- 「2) 化学薬品や微生物に対する抵抗性を付与すること。」
- 「が最も多く普及しており、」
- 日本皮革産業連合会「皮革用語辞典「タンニン革」」↗(2026-09-26 確認)
引用した記載 3件
- 「植物タンニン剤を用いて鞣した革」
- 「クロム革に比べて伸びと弾性が小さく、可塑性が強いが製造に時間がかかり、日光堅ろう性が弱い」
- 「底革、ぬめ革、クラフト(革工芸)などの製造に利用される」
- 日本皮革産業連合会「皮革用語辞典「クロム革」」↗(2026-09-26 確認)
引用した記載 4件
- 「クロム鞣剤で鞣された革」
- 「淡青色で、保存性、耐熱性、柔軟性が優れ、軽く、弾性が強く」
- 「甲革、ハンドバッグ用革、衣料用革など最も多く生産されている」
- 「最近は、革製品の需要の多様化と省クロムの問題で、ほかの鞣剤とのコンビネーション鞣し革が多くなる傾向にある」
- 日本皮革産業連合会「皮革用語辞典「エイジング」」↗(2026-09-27 確認)
引用した記載 3件
- 「製品革では、加脂剤が徐々に酸化され、酸化生成物およびそれらとタンニン分子や革との化学反応によって濃色化し、味わい深い革になる」
- 「時間の経過に伴って皮革繊維表面上で局在する中性油が均一に広がっていくことによって、皮革製品の風合いが均一になり」
- 「エイジングによって耐熱性が向上する要因として」
- レッドウィング「よくあるご質問」↗(2026-10-03 確認)
引用した記載 1件
- 「こうしてつくられた革は、オイルを頻繁に補給しなくても長年持つものです。」(レッドウィングの靴)
- コロニル「ヌメ革のお手入れ方法」↗(2026-10-04 確認)
引用した記載 2件
- 「また、急激な日焼けは焼けムラを作ってしまうため日焼けの管理も大切です。」
- 「クリームの使用は色が十分に濃く飴色になり、ツヤが出るまでは控えましょう。」(控える)
- コロニル「代表的な素材の種類と特徴」↗(2026-09-28 確認)
引用した記載 2件
- 「植物の渋(タンニン)成分を使ってなめされた、染色や塗装などの表面加工をほとんど施していない自然な風合いの表革です。」
- 「水分や油分が浸み込みやすく、水シミや日焼けによる変色が非常に起こりやすいため、使用前の保護をはじめとするケアが不可欠です。」